相続とは何か?

相続とは、無くなった方の財産上の地位を、法律上の規定または遺言によって、特定の人に受け継がせることをいいます。 
戦前においては、家督相続という嫡出長男優先の単独包括相続が定められておりました。それが戦後にな、家督相続の廃止、均分相続制、寄与分制度など様々な改正を経ることによって、今日の相続税の形に至っています。

ケースに応じた詳細についてはこちら

なぜ相続という制度があるのか

相続制度の存在理由には、次の3つが挙げられます。

相続人の生活保障

今の日本社会では、自分の生活保障は自分で行なわなければなりません。 家族(配偶者、子、親)など、無くなった方が生前に扶養していた人たちの生活を成り立たせていくためには、財産の承継を認めなければいけません。

被相続人の取引の安全

人の死亡という偶然発生する事件により、その人が当事者であった売買や賃貸借などの契約が消滅してしまうと、社会経済の円滑な機能が困難になります。そのため、相続人がその契約上の地位をそのまま継承する必要があります。

相続人の潜在的持分の実現

家庭では、通常配偶者や子らがお互いに支えあって財産を築き上げています。 したがって、家族構成員は、被相続人名義の資産に対して、一定の持分を有すると考えられます。

いつ相続がはじまるか

相続は、被相続人が死亡した瞬間に開始します。 
ただ、行方不明者でその生死が判明しない時は、失踪宣告によって、法律上死亡したものとみなされます。

自然死亡

死亡診断書や死体検案書を添付した死亡届により、戸籍簿に死亡の日が記載されます。 死体が発見されない場合などは、官公署の死亡報告に基づいて戸籍への記載がなされます。(認定死亡 ) 

失踪宣告

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

(1)普通失踪不在者の生死が7年以上不明であるとき、家庭裁判所が利害関係人の請求により宣告し、失踪期間の満了時である7年経過時に死亡したものとみなされます。

(2)特別失踪戦地、沈没した船舶、墜落した飛行機にいた者であって、戦争が止んだなどの後1年以上の間その生死が不明の場合に、家庭裁判所が利害関係人の請求により宣告し、この危機が終わった時点で死亡したものとみなされます。

相続のスケジュール

相続開始後は、民法、相続税法のほか、さまざまな手続が必要になりますが、一般的なスケジュールは下記のとおりです。

相続開始
関係者への連絡、葬儀の準備

死亡届を提出する
7日以内に市区町村役場へ、死亡診断書添付

葬儀費用の領収書等の保管・整理

形見分け等
遺言書の有無の確認
遺言書があれば、家庭裁判所で検認
(三十五日忌法要の頃)

この頃までに納骨する
遺産と債務の把握

相続を放棄するかどうか決定
相続人の確認
被相続人と相続人の戸籍謄本を取り寄せる

家庭裁判所に申述

被相続人の所得を税務署に申告する

遺産や債務の調査
遺産の評価(相続税評価額、時価)
相続人全員の実印と印鑑証明書が必要

状況に応じて専門家の知恵を借りる

遺産の名義変更の手続
不動産の相続登記、預貯金の名義変更
相続税の申告書の作成
納税資金の準備、物納などの検討

被相続人の死亡時の所在地の税務署に申告、納税
遺産の名義変更の手続き

問題なければ相続手続き終了

相続放棄

相続人は、相続を拒否することもできます。
相続財産のうち消極財産が多い場合や積極財産の承継をしたくない相続人がいる場合に利用されます。
相続放棄の方式は下記のとおりです。

相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する
各相続人が単独で放棄できる(限定承認とは異なります)  

相続放棄をすると、民法上、放棄した人は初めから相続人でなかったものとみなされるため、その子に代襲相続は認められません。
(欠格・排除の場合と異なります)

弊事務所に相続案件を依頼するメリット

1. お客様が申告書を作成するのに費やす時間と作成する苦労から解放されます。 

相続税申告書の作成につきまして税の専門家である税理士が専門知識と専用ソフトを利用して作成しても平均すると100時間程度かかる作業と言われています相続人の方が相続税の知識を1から習得して手書きで相続税申告書を完成させるとした場合、膨大な時間と手間がかかってしまうことは想像に難くありません。
例えば、「遺産総額8000万円、相続人3人」という場合の相続税申告書でも、場合によっては100ページ近い厚さになります。 構成は
相続税額の計算申告書
財産目録
土地などの評価明細
遺産分割協議書
相続人関係図
戸籍謄本や住民票、土地建物
の謄本など ⑥については市役所や法務局に足を運
ぶことによって収集できるものですが①~⑤については自ら作成する必要があり特に①と③については作成につき専門的知識を要します。 

2. 特例の適用漏れや、選択誤り等の税務処理の誤りによる不必要な税金の発生防止することが可能になります。 

相続税の申告書作成はかなり難解です。解らない箇所が生じた場合にインターネットで調べたり、税務署に相談に行ったりすることにより何とか作成できたとしても、節税が可能な特例の適用漏れや、選択漏れが発生する可能性がかなりくなります 「自分で出来たので税理士報酬50万円払わずに済んだ」と安心した場合でも、実は気がつかないところで相続税額を100万円多く払っていたなどいう事態も少なからずあります。 相続税の専門税理士に依頼した場合、このようなご自分では気づかないリスクを負うことはありません。また、一般の方が自分で税金の計算をして、自分で申告して、間違って100万円も多く税金を支払ったとしても税務署から「申告が間違っているので納税額が100万円多いから返金します」とは連絡してくれることはないです。多い金額を納税してしまったとしても、自ら修正申告をして、更正の請求(税金の還付請求)という税務特有の手続きを踏まなければ、税金は戻って来ることはありません 

3. 税理士の署名押印のある相続税申告書を提出することが出来ます。 

提出された相続税申告書について税務署当然内容をチェックします。 申告書には、表紙右下に税理士の署名押印をする箇所があります。 ここで税理士の署名押印があるものとないものでは税務署の見る目が違ってくるのは明らかです。税理士が作成代行している場合、一般的に①脱税の疑いが薄い、②計算誤りや適用誤りの可能性が低い、と判断されますが、税理士の署名押印がない相続税申告書の場合はその逆の判断をされる可能性が高くなります。 相続税の税務調査は申告者全体の1/3ほどととても高い確率で行われます。税理士に依頼されれば確実に税務調査の可能性は下がります。 

4. 相続税税務調査を税理士に立ち会ってもらえる 

3)で説明したとおり相続税の申告をした場合には一定確率で相続税の税務調査を受けることになりますこの場合拒否をすることは出来ません。税務署の税務調査官相手に般の方が対応することは不安だと思います。このような場合にも、税理士が立ち会い、税務調査官との応対をさせて頂きます 

5. 二次相続を含めた円滑な遺産分割協議が出来ます。 

当然税理士に遺産分割を決定する権限ございませんが、「税理士」という第三者を介することにすれば相続人間の場合はで言いづらかったことも言えるようになり、腹を割った遺産分割協議をすることが可能になるかもしれません。 また計画的な二次相続の提案なども可能です。

 

6. 相続税申告での税理士報酬は、税理士ごとに算出の基準が異なります。 

相続財産額に対する何パーセントかを報酬とする場合や、ある一定の相続財産額に対していくらという報酬を設定し、段階的に報酬が高くなる場合などがあります。また、不動産の所有権数によって報酬を加算するケースもあります。
一概にいくらと言うことは難しいのですが、おおよその相場は相続財産額に対する0.5~1%の金額がひとつの目安となります。ただし、相続財産額が1億円を超えてくると税理士報酬のパーセンテージが低くなる傾向にあります。 

弊事務所の場合、 

相続財産額 税理士報酬 
~5000万円 20~50万円 
5000万円~7000万円 25~70万円 
7000万円~1億円 35~100万円 
1億円~3億円 50~150万円 
3億円~5億円 60~200万円 
5億円~10億円 150~300万円 
10億円~ 要相談 


報酬に関しては、
お客様にとっては安ければ安いほど嬉しいですが、「適正な報酬」で「適正な申告書」を作成してもらうためには、安いことだけを基準にすることは非常に危険です。
相続税申告の経験が豊富で、質の高いサービスを提供している税理士の場合、相場よりも少し高めに報酬設定されていることもあります。 

このように、申告内容や依頼内容、また、税理士によっても報酬額が異なりますので、複数の税理士に見積もりを出してもらい、そのサービス内容や相続税申告の経験などを比較することをおすすめします。 

よくある質問

相続人となるのは、配偶者、子、父母、兄弟姉妹等で、相続開始時に生存している人です。  
これらの人々には優先順位が決められており、全員が財産を相続できる訳ではありません。 
配偶者は必ず相続人になります。ただし、婚姻届を提出していない人(内縁関係)は相続人になりません。 

第1順位・・・直系卑属(子・孫・曾孫・・・)  
子は第1順位で相続人になります。 
相続発生時に子が死亡していた場合、孫が相続人になります。
(代襲相続)

孫も死亡して、曾孫がいる場合には、曾孫が相続人になります。
 (再代襲相続)

第2順位・・・直系尊属(父母・祖父母・・・)
被相続人に子や孫がいなければ、父母が相続人になります。
父母がいない場合、祖父母が相続人になります。  

第3順位
第1順位、第2順位の相続人がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が死亡している場合、その子に代襲相続が認められます。 
sただし、兄弟姉妹に限っては、再代襲が認められません。 

相続開始時に胎児であっても、生まれたと見做して相続権が認められます。  
配偶者が妊娠中である場合、第1順位の子がいることになり、第2順位の父母に相続権はありません。 
なお、胎児の相続権は生まれてきた時に限られ、流産や死産の時はその権利がなかったものとされます。 

養子制度には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。  

1.特別養子縁組 
特別養子縁組が成立すると同時に、実父母や血族との親族関係は終了し、養子は養親の実子と同じ扱いになります。
従って、養父母とその血族についての相続権は認められますが、実父母や実の兄弟についての相続権はなくなります。
また、特別養子が死亡した場合は、養父母が第2順位となり、実父母は相続人になりません。 

2.普通養子縁組
普通養子は、実父母についての相続権も、養父母についての相続権も認められます。
また、普通養子が死亡した場合は、養父母と実父母の両方が第2順位になります。

婚姻関係にない男女間に生まれた子を非嫡出子といいます。
非嫡出子は、父または裁判所が認知すれば、相続権を認められます。
平成25年9月4日以前の相続については、相続分は嫡出子の2分の1になります。 

被相続人との間に血縁関係がない連れ子も、相続人になりません。
連れ子を相続人にするためには、養子縁組が必要です。

相続人が全員死亡していたり、血縁者がいても法定相続人として認められない場合は、次の手順で財産分与が行なわれます。
相続財産は相続財産法人となり、利害関係者(受遺者や債権者など)または検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求します。
選任された相続財産管理人は、相続財産から債権者に対する弁済などの清算手続きを行ないます。
残余財産があれば、その全部または一部が特別縁故者(被相続人と生計を共にしていた人、被相続人の療養看護に努めた人など)に分与されます。
特別縁故者がいない場合、または特別縁故者への財産分与が認められない場合は、残余財産は国庫に帰属します。 

相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続人に承継されます。
ただし、被相続人の一身に専属したものは除かれます。  

1.相続できる財産
被相続人の財産に属した一切の権利義務。
つまり、被相続人が有していた全財産のほか、まだ発生していない財産上の法律関係(たとえば土地を売る契約など)も継承します。 

 2.相続できない財産
被相続人その人にだけ帰属するもの。(一身専属権)
たとえば、年金受給権や土地家屋調査士資格などです。

相続する「全財産」には、積極財産(プラス財産)のほか、消極財産(マイナス財産)があります。 

1.積極財産(プラス財産)
土地建物、現預金、有価証券、動産といった有形の財産のほか、借地権、占有権などの権利も含まれます。 

 2.消極財産(マイナス財産)
借金や住宅ローンなどの債務が典型例です。
なお、(連帯 ) 保証債務も相続します。
ただし、身元保証債務のように、あらかじめその保証額を知ることができない債務は、特別の事情がない限り相続しません。

相続人が数人いる場合、これらの相続人がそれぞれ相続財産を相続する割合のことを相続分といいます。
相続分には、指定相続分と法定相続分とがあります。 

1.指定相続分
被相続人は、遺言によって相続分を指定できます。
これを指定相続分といいます。 
指定相続分は法定相続分に優先して適用されますが、法定相続人から遺留分の主張をすることが認められています。 

 2.法定相続分
遺言による相続分の指定がなければ、民法で定める相続分によります。
これを法定相続分といいます。  

イ) 配偶者のみが相続人の場合
(被相続人)配偶者     配偶者 
配偶者が全てを相続することになります
配偶者:全部  

 ロ)配偶者と第1順位 ( 子 ) が相続する場合
被相続人     配偶者 

   長男   次男 

 配偶者が2分の1、第1順位が2分の1を均等分割します。  

 配偶者:1/2  

長男:1/4(1/2を2等分) 

次男:1/4(1/2を2等分) 

 ハ)配偶者と第2順位(直系尊属)が相続する場合 
配偶者が3分の2、第2順位が3分の1を均等分割します。 
 

              配偶者:2/3 

 (被相続人)=配偶者   父: 1/6(1/3を2等分) 

母:1/6(1/3を2等分) 

ニ)配偶者と第3順位(兄弟姉妹)が相続する場合  

 配偶者が4分の3、第3順位が4分の1を均等分割します。 

 

                   配偶者:3/4 

兄   姉  (被相続人)=配偶者  兄:1/8(1/4を2等分) 

姉:1/8(1/4を2等分)

相続人は、原則として被相続人の財産を受け継ぎますが、多額の債務があるような場合には、相続をしたくないということがあります。
そこで相続人は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択することができます。

1.単純承認
被相続人の財産(積極財産・消極財産)の全てを無条件で相続することです。
債権は相続するが債務は相続しないとか、現金は相続するが不動産は相続しないというようなことはできません。
また、下記のような場合には、単純承認したものと見做されます  

相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
相続開始を知った日から3ヶ月以内に限定承認または放棄をしなかったとき
相続人が限定承認または放棄した後でも、相続財産の全部または一部を隠匿し、費消し、悪意で財産目録に記載しなかったとき 

2.限定承認
受け継いだ資産(積極財産)の範囲内で負債(消極財産 ) を支払い、積極財産を超える消極財産については責任を負わないという相続の方法です。
相続財産の中の消極財産が積極財産より多いと思われる場合に有効です。
限定承認の要件は下記のとおりです。  

相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する
相続人全員で申述 等  

福田尚之・公認会計士税理士事務所

福田尚之公認会計士税理士事務所

〒104-0032  東京都中央区八丁堀二丁目19番7号庄司ビル403

info@fukudakaikei.com

0120-08-3251

03-6228-3260​

お問い合わせ